住まいの家族空間についてはどうでしょうか。設計の要望事項で必ず挙げられるのが、リビングルームに、広い子ども部屋の確保です。しかし、こんな暮らしをしたいから、これくらいの広さが欲しいという訳でも、子どもの精神的な自立を考えて、これくらいの広さの子ども部屋が欲しいと考えている訳でもないのです。昭和30年代後半から日本の家庭では「子ども中心主義」が強くなり、子どもに関してなら、教育費をはじめ、お金を出し惜みしないという意識が強くなる一方で、ハウスメーカーなどの住宅産業は、子ども部屋を受験勉強に必要な部屋として、nLDKのnをしっかり組み入れることによって、そうした風潮を強化したことも見逃せません。広いリビングルームにしても、テレビやパンフレットの写真からのイメージが、1人歩きしている場合が多い。しかし、家族構成や暮らしを考えない、必要以上に広いリビングルームや子ども部屋は、家族関係をぎくしゃくさせ、むしろ絆を弱めかねません。お皿やグラスのように、「大は小を兼ねる」とはいかないところに、住まいの広さの難しさがあります。家族のふれあいの場は、広からず、狭からず、その大きさは家族構成のみならず、個々人の個性や関係性によって変わるのが当然で、家族1つ1つに適正な広さとバランスがあるはず。家族が考える理想の生活を叶えられるような、部屋の広さであるべきです。この視点から見ると、これまで日本人は、住まいの広さや空間に対してあまりに無関心だったのではないでしょうか。
[参考]
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