入居二三年目に建替え問題が浮上してからは、二度目の外壁修繕や設備の更新工事の必要にせまられながら、修繕らしい修繕はほとんど実施されなかった。修繕したくても、「修繕をすると建替えが遠のく」とする根強い反対が修繕をはばんだのである。このあいだに疲弊したのは、建物だけではなく、住民自身でもあり、多くの役員経験者が団地を去っていった。そんななかで、再生へのきっかけになったのが、首都圏の居住者組織が実施した建物診断である。その報告書では、「適切な修繕をほどこせば、今後も建物に構造上の問題は何らない」「適切な修繕をほどこしたうえで、健全な再開発が計画される必要がある」という二点が指摘された。管理組合はこれを受けて、一九九四年度中に建替え再計画を射程に入れた将来一〇年間の長期修繕計画を策定し、遅ればせながら一九九五年度に外壁を中心とする大規模修繕工事を実施した。入居三〇年目のことである。管理組合が保全管理するのは共用部分に限定するのが一般である。ただし、建物が築三〇年に近づくと、共用部分にだけとどまっていては、真の意味で良好な住条件を満足できないのが現実であろう。そこで専有部分の改善にも管理組合は積極的に踏みこんでいる。たとえば、入居以来三〇年間、外壁に専有者が勝手に穴をあけることを規約で禁じてきたが、エアコンスリーブ用穴二ヵ所、浴室給湯用穴を全住戸に共通しておけることを決定している。エアコンの新設、浴室給湯設備の改善を希望する居住者の要望にこたえたものである。さらには、モデルプランを提示し、専有部分の改善を希望する住戸に便宜をはかった。専有部分の改善を実施した住戸はのベー○○戸、小は網戸の交換から、大は住戸内の全面改装まである。なお、浴室は全戸を対象にして、床防水を共用部分に準じて実施している。そのほか、電気幹線工事の改修を実現したのも画期的なことである。
[参考]
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