一八七一(明治四)年の戸籍法は、人民を居住の地すなわち戸においてとらえることを目的として戸籍を編成した。同居集団と同一戸籍メンバーがほぼ一致するという前提であった。戸主は戸すなわち家の成員を統率すると同時に行政単位である区を統率する戸長の下におかれ、政府−都道府県−区上戸という包括的な行政組織の最末端に位置づけられた。だが産業構造の急激な変化とともに人々の移動はひんぱんになり、たちまち人を場所においてとらえることは困難になった。
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一八九八年の明治民法施行とともに戸籍法も改正され、戸籍は身分関係の把握を目的とすることになる。国籍の記録も戸籍の役割に含まれる。戸籍はあらためて、明治国家の基礎単位としての「家」を構成する「家族」の範囲を確定する役割を担うことになった。すると「家」とは「家」家族の抽象的容器であり、「家」が集まって抽象的であると同時に具体的存在である国家を形成することになる。