世界的なESG投資の普及である。ESG投資とは、E−環境、S−社会的責任、G−企業ガバナンスに優れた企業への投資を優先する考え方である。J−REITの利益相反問題は、このESG投資に照らし合わせると、企業ガバナンスに抵触することになる。抵触すると見なされる場合、収益が期待できるか否かといった以前に、投資対象として見なされなくなる。ESG投資は、二〇〇五年、当時の国連事務総長が提唱したものである。その提唱に従い投資を行う「責任投資原則(PRI)」を遵守する機関投資家は着実に増えており、二〇〇七年九月時点では一一八〇兆円の資産を運用する世界の二四三機関が参加を表明している。
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米国最大の年金であるカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)は、二〇〇七年二月にコーポレート・ガバナンスの国際原則を発表した。続けて、二〇〇八年五月にはカルパースを含む七つの機関投資家が日本企業向けにガバナンス改革を迫る提言を発表している。ESG投資は、もはや不可逆的な世界の潮流であり、国内の年金基金も同様の考え方を取り入れる傾向が強まりつつある。J−REITと不動産企業の間に内在する利益相反問題も、早晩放置してはおけないテーマとなるであろう。