中学一年のときに、新築したという友人宅に招かれ、玄関を開けるなり真っ直ぐに伸びている、木目の壁とドアしか見えない暗い廊下に変な感じを受けたのを覚えている。気持ちがよかったのは真っ直ぐに伸びた明るい二階の廊下で、見晴台というと少しいい過ぎのようだが、上半分のガラス戸を開け放ち、冬には富士をみ、夏には多摩川の花火を見た。二階にいい座敷を置いたのはもてなしの心を表わしたものと納得できるのである。といっても、二階での接客は料理を運ぶのも大変で、その人手があってできることでもあった。
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白いキャラコのカーテンもいまや廊下を一段と明るく思い起こさせる。この家はもう心のなかにしかない。一部を取り壊したとき。痛々しくてたまらなかった。それなのに全部を取り壊してしまった。この家で繰り広げるべき家族の生活がなくなってしまったのだからとあきらめたのである。