相続税対策というのは、主に次の2つの点を意味する。第一には、負債は相続財産から差し引かれるということである。つまり、借金してビルに建て替え、相続時点で返済金が残っている場合には、その分が相続財産からマイナスされるため、当然相続税か軽減されることになる。第二には、土地の上に貸ビル(貸家)が建っている場合には、自宅用の建物が建っている場合に比べて、借家人の借家権相当分が土地の評価額から差し引かれ、この点でも相続税が軽減される。このように都心に住んでいる人が、そこに建て替えてなお定着する場合は、周辺の住宅地に対して地価上昇の影響をもたらさないが、売却した場合には、まさにそれまで想像もしなかった大金を手にして、買い換えの特例を最大限に活用して代替地を探し始めたから、周辺住宅地の高騰は、都心の地価高騰に半年ほど遅れて急速に拡大していった。ある中央線沿線の住宅地では、たまたま売り物件の価格表示に誤ってゼロを1つ余分につけて売りに出していたところ、そのままの値段で売れてしまったという笑い話のような話すらある。つまり、都心で小さな商いをしていた老人夫婦が、土地を売って急に何億円もの大金を手にし、それを使いきらないと税金に持っていかれるとばかりに、3000万円で売りに出ていた物件を不動産屋が間違って3億円と表示したのに気づかず、その値で買ってしまったのである。そのころ東京と横浜、川崎の不動産屋に表示されている中古住宅は、30坪以上の土地付きであるとまず1億円以上の値がつくといった状況であった。
[参考情報]
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